ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-3「物流費削減への挑戦」

ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-3「物流費削減への挑戦」

少しづつ理解してきたあなた……営業に来た業者が持ってきた見積書の内容も分かります。

「この項目の金額は安いな、こちらはえらく高いけど・・・」

ふと、あなたは思います。「何でこんなに差があるのかな・・・」

委託している業者の背景を理解する

 あなたの会社に訪れる物流業者は沢山あります。また、提示をする金額も様々です。もちろんあなたの会社をだまそうとして高く設定する業者はありません。その金額には根拠があります。各物流業者にある背景に注意してみましょう。

  • 業態としてどの範囲が強みなのか?
  • どこまでを委託するのか?
  • 担当窓口の部署

業態としてどの範囲が強みなのか?

 会社名に注意してみましょう。「~ロジスティクス」「~倉庫」「~運輸」「~シッピング」様々な会社名がありますが、おおよそ名前で「何が本業(強み)か?」がわかる場合があります。もちろん創業者の名前や地域の名前を有する企業名もありますが、最終的に会社HPの確認は必要です。

 例えばあなたの会社へ営業に来た会社を調べると「倉庫業」が主要業務であった場合、主要業務に記載のない「フォワーディング(海上/航空輸送)業務」については不得手であり、それでも営業をしてくる場合は同業他社にその部分を委託している事が考えられます。他社に委託しているのでその業務についてはコスト面の上昇は考えられます。

 前の章であげた5つの物流フロー(1. 現地での配送、2. 現地港湾での作業、3. 海上(航空)輸送、4. 日本港湾での作業、5. 国内の配送)に従って、「どの部分が直接その業者が手配できて、どの部分が他業者への委託なのか?」のヒヤリングは必要です。

 昨今は、業務(営業)の窓口を一つにした方が顧客に喜ばれるという事を物流業者も知っています。国内の運送だけをやっていた業者が、海外の貨物を日本へ持ってくる営業を普通にする時代です。ただほとんどの場合は協力業者に委託してのサービスです。例えの話ですがその業者の場合は国内配送に関しては強い(金額も適価、オペレーションも迅速)と思われますが、現地からの手配、海上輸送、日本港湾での通関等の費用とレスポンスに課題はあると思います。

 また「全ての範囲を自社で賄える物流業者」というのもそれ程多くはありません。大手物流業者があげられるかもしれませんが、いずれにせよ比較検討は必要です。

どこまでを委託するか?

 「あなたの会社が物流業者に委託する業務範囲はどこまでなのか?」、ここでまたインコタームズが出てきますが、「EXWなのかFOBなのかCIFなのか?」、それによって上記の特定の範囲での「強み」がある業者の選択がしやすくなります。

 また、あなたの会社の抱えている課題も把握しておく必要もあるかもしれません。

 元々あなたの会社が「国内の物流センターのオペレーション」について課題を抱えていたとするなら、そこに強みがある業者の選択もあり得ます。納期が遅れ気味でそこに課題がある場合なら、多少費用高でもスピードがあるサービスを提供してくれる業者の選択はどうでしょうか? 物流費全般の削減という課題があるなら、一部分の項目が安いよりはTOTALの費用で視る必要も出てきます。

担当窓口の部署

 ここはミクロの話ではありますが、実際にあなたとやり取りする部署(窓口)の様子も把握しておきましょう。

 「日常のやり取りがスムーズにいくのか?」、社風もありますし、設備投資、個人の能力もあります。担当者一人が優秀でも企業では異動がつきもの。その担当が異動になった途端、レスポンスが悪くなったというのは良く聞く話です。費用が安くてもレスポンスが悪く業務が滞るようでは意味がありません。

 また、会社のカラーというのは結構後から効いてくる要素の一つです。営業窓口、責任者等も含めて総合的に視てみましょう。

 さらに別の視点ではありますが、業者が提示して来る金額に直接影響があるもの、例えば人件費や設備投資費です。それらが高ければ、提示してくる金額は高くなるでしょう。私見ですが物流業者が持ってくる値上げ金額の理由を見ると、利益幅を広げているというよりは人件費の上昇やサービス向上のための設備投資の費用の転嫁の要素が強いように思います。またしばらくは人手不足により人件費の上昇によりあらゆる面で物流費用の上昇が考えられます。そこも踏まえて比較検討は必要と思います。

「業者もいろいろあるんだなぁ……」あなたは業者間の金額の差が何となくわかるような気がします。「どの企業でも強みと弱みはあるからね…」

 でも少し腑に落ちない所があります。去年の業者からの請求書が手元にあります。「貨物量が少ないのに何でこんなに費用が高いんだろう…?」

それは・・・次回へ続く

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