ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-2「物流費削減への挑戦」

ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-2「物流費削減への挑戦」

 あなたの会社が負担している物流費用の範囲がわかってきました。

「なるほどインコタームズか・・・」「でも、この書類にあるTHCとかDerivery chargeとかって、ナニ・・・?」

各費用項目の内容を理解する

 おおよそ物流のどの範囲があなたの会社の費用負担かがわかった所で、次に費用(請求)項目の読解をしてみましょう。以下、説明しやすいようにタームはEXW(現地工場渡し)という前提で話を進めます。大きく物流フローを時系列に5つに分けてみます。

  1. 現地の工場(倉庫)から貨物を引き取って、現地の港湾までの運送の費用
  2. 現地の港湾の輸出通関、コンテナ荷役の費用
  3. 海上(航空)運送に関わる費用(これ以降はFOBと同じ意味)
  4. 日本の港湾の費用、輸入通関の費用(これ以降はCIF/C&Fと同じ意味)
  5. 日本の港湾から目的地までの運送費用

現地工場から貨物を引き取って現地港湾までの運送費用…1

 これは現地国内での陸送運賃となります。Derivery chargeとかInland chargeとか呼ばれるものです。この費用に関しては、物流業者間での費用の差が出る項目です。

現地の港湾の輸出通関、コンテナ荷役の費用…2

 上記で運送された貨物を港湾に搬入した後に、輸出通関、船積作業までの費用となります。

 まず、輸出通関の費用についてですが、Customs clearance feeとか呼ばれるものです。Handling chargeと呼ばれるものもありますが、これは委託業者の別の手数料だったり、上記の通関費用だったりすることもあります。委託業者に確認が必要です。この費用も、特に上記のHandling chargeの項目で業者間に差がつく事があるようです。

 続いて港湾費用ですが、THC(CHC)と呼ばれる費用がありますが、これはターミナル(コンテナ)ハンドリングチャージの略語でその名の通りコンテナ取扱費用=荷役費用の事です。これはコンテナサイズ(20F/40F)の違いで金額の変動は出ますが一般的には業者間での金額の差は出ません。続いてBL feeと呼ばれるものがありますがこれは船会社がBLを発行する手数料の事です。こちらもあまり金額の差は出ないようです。

 以上の1と2は現地側の費用で見積書や請求書上ではほぼ英語表記であり、かつ略語が多いです。一見非常に分かりづらいです。意味不明な項目は一個一個業者に聞いて潰していきましょう。時間はかかるかもしれませんが、意味が分かれば今後のあなたの業務のスピードアップに繋がります。

海上(航空)運送に関わる費用…3

 Ocean(Air) freight等と呼ばれます。もちろんこの費用は業者間で差がつく項目です。この費用には、別に加えられるCharge類が幾つかあります。FAF、YAS、EBS…それだけでは良く分からないのですが意味を調べると、燃料補填費用、為替調整費用、緊急燃料費割増料…と呼ばれるものです。その他にも幾つかありますが、捉え方として実務的には「freight」とほぼ変わりません。乱暴な言い方かもしれませんが同じものとして認識しても宜しいかと思います。こちらは業者間でそれほど差は出ません。

 しかし、業者によっては上記の「Ocean freight」の金額に、諸チャージ類が含まれている場合もあります。運賃と諸チャージが、「込みの金額」なのか、「別建ての金額」なのか、ここは要注意で、業者に確認が必要です。

日本の港湾の費用、輸入通関の費用…4

 上記の2と同じで日本の港湾についた貨物(コンテナ)を船から卸し格納する作業等の費用と、輸入通関する費用になります。港湾での費用ですが、この捉え方も2と同じでコンテナサイズごとでの金額変動はありますが業者ごとの金額差はありません。ただ、別の項目にDoc fee等の記載がある場合。細かい説明は次回に譲りますが、これはその案件の委託業者が代理店(フォワーダー)である場合に発生するケースが多いです。上記の費用はその代理店の手数料という事です。その項目でも金額の差は出てきます。

 続いて(輸入)通関の費用ですが、「通関料(申告料)」、「取扱料(手数料)」、場合によっては「配送料」の3項目が一般的です。いずれも業者間によって差が出る項目です。また、費用一覧の中に、「輸入関税」、「輸入消費税」という記載がある場合があります。その場合は、実費請求と記載があるはずです。本来輸入者であるあなたの会社が支払うべき税金で、委託業者が一時それらを立替するという事でそのような表記がされています。もちろん業者によっては差が出ないのですが、これについてはまた別の機会にお話をします。

日本の港湾から目的地までの運送費用…5

 上記1と同じです。通関が終わった貨物を目的地まで配送する費用です。通関を委託した業者に配送を任せてもいいですし、この運送が得意だと言う業者に委託しても良いと思います。一般的には特殊な貨物でない限り通関業者にお願いするケースが殆どです。理由としては、通関から配送までが港湾で行われるので一貫してその業務を行うのがスムーズだという事、港湾の物流は国内の物流と比べて独特なので他の国内の運送業者にお願いしても対応が難しくなる、という事があげられます。

各費用項目を分類し、他業者と比較する

 物流フローの説明としては以上です。5つのフローに分けて説明をしましたが、まずは分かりにくい費用(請求)項目を上記の5つに振り分ける事から始めてみましょう。かなり理解度が進むはずです。比較・分析をする上でわからなくなるのは、用語の意味が理解できない以前に物流フロー全体の理解ができていない、というケースが多いようです。

 まずは俯瞰して物流フローを眺めてみる。その後に各費用項目の意味合いを理解して、他業者との費用を比較する、というステップを踏んでみましょう。なお、ここでは細かく費用の「名称の説明」はしません。各国、各業者で名目も異なれば仕組みも違います。大事なのはそれらの費用が「何をする費用」なのか、そしてそれを比較する、という事が重要だと思います。

なるほど、なるほど……何となくこの用語も解ってきたぞ…… Freightか……でも何でこんなに業者間で金額が違うんだろう?

だまされているのかな……?

次回へ続く・・・

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