ホワイトソースと牛乳の関税の話

ホワイトソースと牛乳の関税の話

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サイゼリヤのミラノ風ドリアの美味しさと安さの秘密

みなさんご存知のレストラン「サイゼリヤ」の代名詞とも言える安くて美味しい「ミラノ風ドリア」ドリアの安さの源泉についてご紹介します。まずは美味しさの源泉について、ミラノ風ドリアはその材料であるホワイトソースが肝のようです。株式会社サイゼリヤのホームページに下記のように紹介されていましたので、引用させて頂きます。

サイゼリヤの代名詞ともいえる「ミラノ風ドリア」の素材「ホワイトソース」。一流コックさんがするように、牛乳をじっくり煮詰めながら、ミルクのコクと甘みと風味を凝縮した至極のソースが目標。日本でこれをやると、乳製品の相場価格を考えるととてもドリアを299円では出せない。しかし、本物のホワイトソースを使いたい。そこで、オーストラリア工場にホワイトソースのラインをつくりました。
オーストラリアはビーフ大国=ミルク大国でもあり、日本の乳製品輸入量の30%をも占める乳製品が豊富な国。良質なミルクを厳選して大量に使用できる、ホワイトソースにもっとも適した国です。
サイゼリヤはオーストラリアの工場で生乳を煮詰めるところから手掛けています。実にミラノ風ドリア1食分のホワイトソースには、約500mlもの生乳を使用。牛乳パック500ml(約140円)の小売価格(日本)を考えたら・・・わざわざオーストラリアで作らなければならない理由がここにあります。

株式会社サイゼリヤ お値打ち品のための試み コクがあるのにキレがある「ホワイトソース」

ここに安さの秘密についても記載されています。乳製品をオーストラリアで自社工場を持って、一から製造しているとのこと。やはり、日本で牛乳からホワイトソースを使ったら299円のドリアは提供できないという事のようです。日本だと牛乳だけで140円と、売価の約半分も占めてしまいます。。。

日本でのホワイトソースと牛乳の関税率

なお、ここには明記されておりませんが、私はこのサイゼリヤのホームページから、牛乳ではなく、ホワイトソースに加工してから日本に持ってくることに安さの源泉があるのではないかと思いました。

と言いますのは、日本に持ってきた場合(輸入した場合)の牛乳とホワイトソースの関税率は大幅に違うのです。牛乳はなんと25%です(厳密には、国が輸入者ごとに割り当てた数量までは25%、割当数量を超えた輸入または割当を受けていない輸入者による輸入の場合は「21.3% + 114円/KG」)。ホワイトソースは原材料の条件によるので実際にサイゼリヤ様がどのくらいの関税率で輸入しているかは不明ですが、事前教示回答事例によるとホワイトソースはWTO協定率で7.2%となっております。なんと、17.8%も関税率が異なるのです。例えば1億円輸入した場合、為替を考慮しなければ約17.8百万円も関税額が安くなります。しかも今であれば、日本とオーストラリア間ではEPAがありますので、オーストラリアの原産性を証明できれば、ゼロにすることも可能です。

こう言ったこともミラノ風ドリアが日本で安く提供できている大きな理由の一つではないかとこのホームページを見て感じたところです。

日本は加工物による輸入の方が関税率が低いケースが多い

今回は、ホワイトソースを例にしましたが、日本は国内の農産物を守る為に、牛乳や小麦のような原材料は関税率が高く設定されております。一方、ホワイトソース等の加工物となると関税率が低いケースが多いです。

したがって、オーストラリアが乳製品が豊富な国だからといって、ミルク(牛乳)のまま日本に持ってきますと高い関税率を課せられます。そこで、現地で加工してから輸入するという方法が有効になります。もちろん現地で加工する場合のコストや工場を建設する場合のコストは別で考えていかなければいけませんが、関税だけの観点でいけば、日本で輸入する際には加工物の状態で輸入する方が得策のようです。

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