【10分でわかる!!】付加価値基準のお助けルール!
- 2020.02.16
- 10分でわかるシリーズ(動画付き) EPA/FTA 関税
動画解説はこちら!
付加価値基準が使えないかもと思ったら、こちらを検討ください!!今回は、ロールアップ(「原産材料の非原産材料」は無視可能)とトレーシング(「非原産材料の原産材料」は取り込める)という救済規程について説明します。補足でロールダウン(無理して2次材料まで知る必要はない)も解説しました。
お助けルールその1:ロールアップ
ロールアップを使わないと・・・
FOB価格 100万円
非原産材料 45万円
原産材料 30万円
➡︎ 内訳:非原産材料10万円、原産材料20万円
(労務費、製造経費、利益、その他 13万円)
港までの輸送費等 12万円
RVC:原産割合がFOBの55%以上あればいい(控除方式)
➡︎ (100-45-10)÷ 100 = 45 ≧ 55% ❌
MaxNOM:非原産割合が(FOB-輸送費等)の50%以下
➡︎ (45+10) ÷(100-12)= 63% ≦ 50% ❌
両方とも、適用できず原産品としてみなされません。しかし、、、
ロールアップを使えば・・・
FOB価格 100万円
非原産材料 45万円
原産材料 30万円
➡︎ 内訳:非原産材料10万円、原産材料20万円
(労務費、製造経費、利益、その他 13万円)
港までの輸送費等 12万円
RVC:原産割合がFOBの55%以上あればいい(控除方式)
➡︎ (100-45)÷ 100 = 55 ≧ 55% ⭕️
MaxNOM:非原産割合が(FOB-輸送費等)の50%以下
➡︎ 45 ÷(100-12)= 51% ≦ 50% ❌
ロールアップを使えば、RVC方式で原産品としても認められます。ロールアップとは、2次材料に非原産材料が含まれていたとしても、その2次材料を使って生産された材料が原産材料とみなされれば、30万円全体を原産材料とみなしていいという救済規定です。
お助けルールその2:トレーシング
トレーシングを使わないと・・・
FOB価格 100万円
非原産材料 55万円
(原産材料 20万円)
(労務費、製造経費、利益、その他 13万円)
港までの輸送費等 12万円
RVC:原産割合がFOBの55%以上あればいい(控除方式)
➡︎ (100-55)÷ 100 = 45 ≧ 55% ❌
MaxNOM:非原産割合が(FOB-輸送費等)の50%以下
➡︎ 55 ÷(100-12)= 63% ≦ 50% ❌
両方とも、適用できず原産品としてみなされません。しかし、、、
トレーシングを使えば・・・
FOB価格 100万円
非原産材料 55万円
➡ 内訳:非原産材料35万円、原産材料20万円
(原産材料 20万円)
(労務費、製造経費、利益、その他 13万円)
港までの輸送費等 12万円
RVC:原産割合がFOBの55%以上あればいい(控除方式)
➡︎ (100-35)÷ 100 = 65 ≧ 55% ⭕️
MaxNOM:非原産割合が(FOB-輸送費等)の50%以下
➡︎ 35 ÷(100-12)= 40% ≦ 50% ⭕️
トレーシングを使えばRVC方式でも、MaxNOM方式でも原産品として認められます。トレーシングとは、1次材料が非原産材料であっても、その1次材料を生産するために用いた2次材料に原産材料が含まれている場合は、それを原産材料として扱っていいという救済規定です。
補足:ロールダウン
FOB価格 100万円
非原産材料 45万円
➡ 内訳:非原産材料35万円、原産材料10万円
(原産材料 30万円)
(労務費、製造経費、利益、その他 13万円)
港までの輸送費等 12万円
RVC:原産割合がFOBの55%以上あればいい(控除方式)
➡︎ (100-45)÷ 100 = 55 ≧ 55% ⭕️
MaxNOM:非原産割合が(FOB-輸送費等)の50%以下
➡︎ 45 ÷(100-12)= 51% ≦ 50% ❌
ロールアップの逆で、ロールダウンは2次材料に原産材料が含まれていたとしても、その2次材料を使って生産された材料が非原産材料とみなされれば、45万円全体を非原産材料とみなしていいという内容です。あえてトレーシングして、2次材料の原産材料10万円を原産材料として扱わずとも、非原産材料45万円でRVC方式で原産品としてみなされるのであれば、それでもいいという事です。あくまで救済規定は権利なので、「使ってもいい」というものです。
この記事に関するお問い合わせや専門家への無料相談はこちらから!
-
前の記事
【10分でわかる!!】原産性の判断基準を網羅的に簡単解説! 2020.02.16
-
次の記事
【10分でわかる!!】日EU EPA 加工工程基準! 2020.02.16