付加価値基準の救済措置 その3「中間材料」
中間材料とは?
「中間材料」とは、日・メキシコEPAに特有の付加価値基準採用時の救済規定の一つです。ロールアップによく似ている規定です。内容としては、製品を作るのに使った材料や部品などを「中間材料」に指定すると、その中間材料が原産部分と非原産部分とで構成されていても、全体を原産品としてが扱うことができるというものです。
ロールアップと異なるのは、品目ごとに中間材料に指定するためのルールが設定されている点です。また、中間材料は原産資格を持つ内製材料(自国で製造された部材)であることが求められます。なお、工業製品の多くは中間材料抜きには成立しないものも多いため、メキシコとの取引がある場合は、検討の余地があります。
日・メキシコEPAの具体的な規定内容
日・メキシコEPAには詳細の記載がありますので、下記ご参照ください。
出典:日・メキシコEPA 26条
26条の2項は、これとは別にきめられた「統一規則」の第2節第2部「中間材料」の(4) 中間材料の規定の適用例と合わせて見る必要があります。
出典:「統一規則」の第2節第2部「中間材料」
FTAやEPAには、このように各EPAで独特のルールを設定することも珍しくありません。一旦ある程度のところまで調べられた後、専門家に最後の確認をしてもらうといいと思います。
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Author:S.I 投稿一覧
2002年筑波大学国際関係学類卒業後、空気圧機器の世界トップメーカーであるSMC株式会社入社。働きながら中央大学の社会人向けビジネススクールに通い2014年3月にMBA取得。2018年までの16年間、当該メーカーにて国際税務(特に移転価格)の経験を積み、多国籍企業の法人税節税に貢献(2018年7月に当該メーカーを退社)。国際税務を担当する中で、多くの企業が関税を無駄に払っている現実に直面。この問題を解決する一助として、独学でプログラミングを習得し、HSコードや関税率を簡単に検索できるサービス「HS CODER」https://hs-coder.com/ を公開、現在運営中。更なるサービス拡大を目指し、2018年10月株式会社ワッグワックを創業。また、2022年2月にフォワーダーのための関税削減アプリhttps://lp.tarifflabo.com/ を開発、公開。現在に至る。