20年以上ぶりの合意!米国 EU 関税削減合意 まずは一部の輸入品から
動画解説はこちら!!
20年以上ぶりに、米国とEUが関税削減で合意しました。今回の合意で、EUは輸入する米国産生鮮・冷凍ロブスターの関税を少なくとも5年間は撤廃することになり、米国は調理済み食品やガラス製品、使い捨てライターなどへの関税を50%引き下げることになりました。
米国 EU 関税削減の一部合意
背景
EUと自由貿易協定(FTA)を結んだカナダのロブスターの競争力がEUで向上したことで、米国で不満が溜まっています。特にロブスターの名産地である北東部メーン州ではその不満は大きくなっており、トランプ米大統領は大統領戦前に支持者にアピールしたいという思惑がありました。そこで、ロブスターの関税を撤廃しなければEUの自動車に関税を課すとEUに圧力をかけ、今回の合意を取り付けた次第です。
米EUは2018年に貿易交渉を始めることで合意しておりましたが対立点が多くなかなか進まず、今回の一部の輸入品の合意を先行することで決着しました。今後も引き続き米EUの貿易交渉に注意が必要です。
EU側での撤廃品
・輸入する米国産生鮮・冷凍ロブスターの関税を少なくとも5年間は撤廃
・米国産生鮮・冷凍ロブスターのEU側での2017年輸入額は約1億1千万ドル(2017年実績)
・EUはロブスターへの関税を8月1日付で遡って撤廃
・ロブスターの種類によって6%や8%の関税を課しているが、世界貿易機関(WTO)ルール(最恵国待遇)に基づき、他国も含めて輸入品の関税を削減
米国側での撤廃品
・米国は調理済み食品やガラス製品、使い捨てライターなどへの関税を50%引き下げ
・EUによる対象品の対米年間輸出額は計約1億6千万ドル
この記事に関するお問い合わせや専門家への無料相談はこちらから
-
前の記事
9月26日から適用!米国 香港への追加関税? 香港原産品は「中国原産」と明記へ 2020.08.23
-
次の記事
年内の合意は困難!?EU英国 FTAの争点 漁業権の扱いについて 2020.08.26
Author:S.I 投稿一覧
2002年筑波大学国際関係学類卒業後、空気圧機器の世界トップメーカーであるSMC株式会社入社。働きながら中央大学の社会人向けビジネススクールに通い2014年3月にMBA取得。2018年までの16年間、当該メーカーにて国際税務(特に移転価格)の経験を積み、多国籍企業の法人税節税に貢献(2018年7月に当該メーカーを退社)。国際税務を担当する中で、多くの企業が関税を無駄に払っている現実に直面。この問題を解決する一助として、独学でプログラミングを習得し、HSコードや関税率を簡単に検索できるサービス「HS CODER」https://hs-coder.com/ を公開、現在運営中。更なるサービス拡大を目指し、2018年10月株式会社ワッグワックを創業。また、2022年2月にフォワーダーのための関税削減アプリhttps://lp.tarifflabo.com/ を開発、公開。現在に至る。