「税率逆転」とは?
「税率逆転」とは?
「税率逆転」とは、その名の通り、FTAやEPAを使わなかった際の税率(MFN税率)がFTAやEPAの税率と同等かそれより低い状況を言います。
「税率逆転」 MFN税率 ≦ FTA/EPA税率
通常、FTAやEPAの税率は、通常適用されるMFN税率より低く、優遇されているものです。
通常 MFN税率 > FTA/EPA税率
一方、FTAやEPAの締結国の中には、国内産業等の国内事情を考慮し、協定締結後にMFN税率を変更することがあります。つまり、FTAやEPAを締結した後にMFN税率が引き下げられた場合、MFN税率の方がFTAやEPAの税率より低いという逆転の現象が発生するケースがあります。
したがって、適用税率については、常にどちらが低いのか注意する必要があります。
なぜこのような現象が発生するのか?
どうしてこういうことが発生するかですが、FTAやEPAは相手の国と約束して決められた税率である一方、そもそも関税自体は、一国の都合で設定できるものだからです。トランプ米大統領の昨今の関税政策は、まさに関税設定は各国の課税権の行使であり、主権(国の専権事項)そのものであるということを如実に表しています。
つまり、FTAやEPAの協定によって、お互いの同意の上に設定された税率(FTA・EPA税率)は、相手の同意がない限り変更できないのに対し、MFN税率は、自国の都合で勝手に変更できるため、場合によっては通常とは逆の状況が起こりうるというものです。
なお、FTA/EPA税率とMFN税率が一緒の場合は、同然MFN税率は原産地証明書等が必要にならないため、あえて手続きが煩雑なFTA/EPA税率を選択する意義はありません。
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