非原産材料を用いて生産される産品は原産品判定の基準は?
原産品の3つの種類の3つ目「非原産材料を用いて生産される産品」についてその原産品判定基準についてご説明します。ちなみに、この「非原産材料を用いて生産される産品」にほとんどの産品が属すると言っても過言ではありません。といいますのは、農水産品や鉱物資源は「完全生産品」、もしくは「原産材料のみから生産される産品」として証明することがそれほど難しくないので、この2つのいずれかで原産性を主張することができますが、貿易の大部分を有する工業品は、非原産材料が含まれていることが多く、「非原産材料を用いて生産される産品」として、工業品のなかに使用されている非原産材料について原産性を判定する基準が必要となります。
3つの原産品判定基準
多数の部品からなる工業品は、前述した通り「原産材料のみから生産される産品」と認定される場合は稀で、材料の中に非原産材料が含まれていることを前提に原産品の判断をしていくが一般的です。原産品判定基準は、以下の3つの基準があります。
- 加工工程基準
- 関税番号変更基準
- 付加価値基準
それぞれ順に見ていきます。
加工工程基準
主に繊維に利用される基準です。加工工程基準は、工業製品のようなものがその国でつくられたといえるためにはどのような加工作業を行えばその国で加工されたことになるかを定義し、その加工作業が行われていればその国で原産されたこととするルールです。ただ、加工作業をすべて列挙するのは難しいことや。実際の作業がどの加工作業に該当するかの判断も難しい場合が多いです。
関税番号変更基準
関税番号変更基準(CTCルール)は、非原産材料のHSコードとそれから生産された産品のHSコードが異なっていれば(HSコードが変わるような変更が行われいれば)、その産品を原産品とするというルールです。つまり、その産品の部品や材料が、締約国以外の第三国からの輸入品であったとしても、この基準を充たすことで、原産品として認定することが可能となります。
付加価値基準
付加価値基準(VAルール)とは、産品の生産過程を通じで、十分な「価値」が加えられるような加工が締約国内で行われた場合に、その産品を原産性ありとするルールです。十分な「価値」はいわゆる付加価値といわれるもので、締約国内で発生した経費や利益も含まれます。つまり、産品に使用された部品や材料の単仕入れた値段と、実際に当該産品が輸出され販売された時の売価を比較し、一定の割合が付加されていれば、つまり仕入れた値段よりより高く販売されていれば、付加価値がその国で発生したと判断され、原産性有りとなります。その割合はFTAやEPA毎に定められますが、40%のケースが非常に多いです。
今回は、3つの基準についてご紹介しましたが、それぞれの基準の詳細については、後日一つずつご説明していきます。
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