特定原産地証明書発給後の義務について
特定原産地証明書発給後の通知義務
特定原産地証明書の発給を受けたらそれで終わりではなく、輸出者(証明書受給者)と原産品であることを明らかにする資料を提出した生産者(特定証明資料提出者)は、特定原産地証明書の発給を受けて原産性を証明した後も果たすべき義務があります。
特定原産品でないことが判明した場合
特定原産地証明書の発給を受けたものの、特定原産品でないことが判明した場合、輸出者(証明書受給者)と原産品であることを明らかにする資料を提出した生産者(特定証明資料提出者)は、速やかに指定発給機関に書面によりその事実を通知しなければなりません。なお、日・メキシコ EPAの場合は、税関当局と輸入者にも通知が必要になります。
この通知期間はFTAごとに定められており、協定によって5年または3年となっております。例えば、日・メキシコ EPA、日・タイ EPAは5年となっており、一方日本・スイス EPAや日・ベトナム EPAは3年となっています。このように協定によって異なるので詳細は各EPAの規定を確認する必要があります。
提出した資料に誤りがあった場合
輸出者(証明書受給者)は、 申請書の記載又は資料の内容の誤りにより証明書の記載に誤りが生じた場合や、証明書に記載された事項に変更があった場合にその旨を通知する義務があり、その期間は1年となっています。一方、原産品であることを明らかにする資料を提出した生産者(特定証明資料提出者)については、提出した資料の内容に誤りがあった場合にその旨を通知する義務があり、その通知期間は同じく1年となっております。
通知義務を怠った場合の罰則
特定原産品でなかったことを通知する義務を怠った輸出者には、30万円以下の罰金が科される(証明法第37条)とともに、証明書の発給の決定が取り消されます(証明法第27条)。また、発給の決定が取り消された場合、相手国の当局にその旨が通報されます(証明法第28条。通報の前に証明書が返納された場合を除く)。
証明書の発給が取り消された場合には、取り消された証明書を所持する証明書受給者は、遅滞なく、その証明書を経済産業大臣に返納しなければなりません(証明法第29条)。返納する義務を怠った輸出者には、30万円以下の罰金が科されます(証明法第38条)。
発給機関による実地検査が行われることがある
また、特定原産品でなかったこと等の通知義務が遵守されているか否かを確認するため、輸出者(証明書受給者)、生産者(特定証明資料提出者)に対し、経済産業大臣又は指定発給機関が報告要請・実地検査を行う場合があります。
なお、報告要請・実地検査は、対象とされた証明書受給者の同意の上で行われるものであり、強制措置ではありませんが、経済産業大臣が実施する報告要請・実地検査の同意を拒むと、証明書発給の決定取消しを受ける場合があります(証明法第27条)。 また、発給の決定が取り消された場合、相手国の当局にその旨が通報されます(証明法第28条。通報の前に証明書が返納された場合を除く)。
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