「原産材料のみから生産される産品」の証明方法とは?
2019年10月4日に「原産材料のみから生産される産品」の原産性の判定基準は、「締約国の原産材料のみから締約国において完全に生産される産品」であることを示す必要がある旨お伝えし、その中で「締約国の原産材料からのみから生産される」と「完全に」の意味を記載しました。今回は、それをどのように証明すればいいか、についてお伝えしたいと思います。
部品表(Bill of Materials)
「原産材料のみから生産される産品」に該当する最終生産品の生産者は、生産過程で用いた材料がすべて締約国の原産材料であるかどうかを確認する必要があります。具体的には、輸出される産品ごとに部品表(Bill of Materials)を作成し、その表にて全ての部品・材料が原産材料であることを記載します。
- 利用するEPAあるいはFTAの協定名(日・タイ EPA)
- 対象産品、HSコード(例:鉄製キャビネット、940310)
- 対象産品の原産地(例:日本)
- 対象産品に適用した原産地規則(例:原産材料のみから生産する産品)
- 輸出される産品の6桁のHSコード、産品名等
- 生産に用いた材料の6桁のHSコード、部品(材料)名等
- 各部品毎に原産・非原産の判断に用いた基準(例:CTH変更、VA40%、サプライヤー証明書等)
証明資料
材料につき、他社から供給を受けている場合は、材料の供給業者からその材料がFTA上の原産品に該当する旨の確認を文書の形で提出してもらい、証明書類として保存する必要があります。
なお、サプライヤーからの証明資料に記載が必要な内容は、本件資料の作成年
月日、製造された物品の供給先名、製造者の氏名又は名称、住所、担当者の氏名、所属部署名、連絡先、利用する協定名、製造された物品が原産品であることを証明する旨の記載、製造された物品の品名(英文)、物品を特定できる情報(製造番号、型番等)、HSコード、判定基準、生産場所(住所、
工場名等)。サンプルの様式は、下図になります。
出典:経済産業省 原産地証明室 「原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示」(PDF資料)
証明資料には、協定により保存義務があります。例えば日・タイEPAの場合、原産地証明書発給の日から5年間、産品が輸出締約国の産品であることに関する記録を保管する義務があります(日・タイEPA第42条(b))。
「累積」を利用して原産性を証明する場合
最終生産品の生産過程で「累積」を活用してEPA締約相手国の材料を原産材料として用いた場合、その材料がEPA締約相手国の原産品であることを証明する書類を証明資料として保存する必要があります。具体的には、締約相手国で発行された原産性を証明する文書(特定原産地証明書)のコピーが実務上利用されています。
まとめ
以上のように、まずは部品表を作成し、部品表に記載された各部品の原産性判断の根拠内容に応じて、「サプライヤー証明書」や「特定原産地証明書」を添付するイメージです。そして、その書類は協定ごとにきめられた期間、保管することになります。
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