原産品判定基準の一般規則と品目別規則とは何か?
以前、関税削減に確認が必要となる資料3つ(下の3つ)を説明し、その一つ「第3章 原産地規則」については、昨日ご説明しました。今日は、それと対をなす資料として「附属書三(第3章関係)品目別規則」について説明します。
- 「第3章 原産地規則」
- 「附属表一(第2章関係)第18条(関税の撤廃又は引き下げ)の規定に関する表(いわゆる「譲許表」といわれるもの)」
- 「附属書三(第3章関係)品目別規則」←こちらを詳しく見ます
一般規則(原産地規則)と品目別規則
原産地規則は、「原産地規則」と「品目別規則」この2つを確認する必要があります。協定本体の「原産地規則」は、一般規則として、当該FTAの原産地規則の一般的なルールが記載されています。一方、附属書の「品目別規則」は、品目別ごとに適用される原産品判定基準が規定されています。つまり、関税削減したい取引の対象となっている産品の原産性判定基準は、その産品のHSコードを特定した上で、品目別規則に記載の原産性判定基準に沿って、原産性を証明する必要があります。
両者は、いわゆる一般法と特別法の関係にありますので、「品目別規則」に記載がある場合、一般規則に優先されます。つまり、「原産地規則」ではいくつかの判定基準を選択できる場合であっても。「品目別規則」で判定基準が特定されている場合は、その基準を使って判定しなければいけません。
バルブ(HSコード:8481:30のケース)
例えば、品目別規則のバルブ(HSコード)8481.30について調べて見ます。該当する場所は下図の通りとなっております。(政府の文書は未だに縦書きです。。これはもう何度もいいたいが、本当にもう縦書きはやめてほい。。。読みづらくてしょうがない。)。
ここには、どういうことが書いてあるかですが、上記の「各号の産品への当該各号が属する項以外の項の材料からの変更」=「関税番号変更基準」「原産資格割合が40パーセント以上」=「付加価値基準」を指しています。つまり、「関税番号変更基準」か「付加価値基準」のいずれかによって原産性を判断してくださいということです。関税番号変更基準について、上記には「項」と書いてあるので、上から4桁(この場合は、8481)が変更されればよいということです。また、付加価値基準については、原産資格を有する材料の割合が40%以上であればいいということです。2つの基準の詳細は、2019年8月30日の「輸出品の原産性はどうやって証明するのか?」で説明していますので、是非ご参照ください。
すべての品目について「品目別規則」に記載しないFTA・EPAもある
なお、日本が締結しているEPAの多くが、すべての品目を「品目別規則」に記載していますが、日・ASEAN EPA、日・スイスEPA、日・ベトナムEPA,日本インドEPAでは、例外的な取り扱いをする品目についてのみ「品目別規則」に記載し、それ以外は「一般規則」における規定の対象となります。このように条約によって違うケースがありますので、原産性判定基準については「原産地規則(一般規則)」と「品目別規則」の2種類の資料をよくご確認ください。
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