輸出国との間に複数のFTAがある場合、どれが適用されるのか?
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もっとも有利なFTAを選択
FTA活用を検討する際に、同じFTA締結国との間に複数のFTAが存在することがあります。
例えば、日本とタイの場合、日本とタイのEPAと、日本とアセアンとのEPAが存在します。この場合は、もっとも有利な関税率になるFTAを企業は適用することが可能です。
適用要件の確認
ただ、ここで注意が必要で、それぞれのFTAによって、またそれぞれの取り扱い品目によって適用要件が異なるので、それぞれの要件を充たすのか検討する必要があります。同じ品目であっても、FTA適用の条件が異なるれば、単純に税率だけ安い方を選んだとしても、そもそも適用条件が違っていれば、そもそも関税低減や撤廃の対象にすらなりません。
そのような適用条件は各国の税関のホーム・ページで、取り扱い品目のHSコードを入力することで、各FTAの関税率を調べることができます。
数年にわたって関税率が下がる場合
FTAによっては、数年にわたって関税率が逓減する場合があります。従って、同じFTAが継続的に有利であるとも限りません。
具体的に、タイに848130のバルブを輸出する場合、日本とタイのFTAを適用した場合の関税率と日本アセアンFTAを適用した場合のタイにおける関税率を調べてみましょう。
タイの場合、こちらのサイトから、締結していうFTAの一覧が確認できます。例えば、HSコード8481.30(バルブ) の 日・タイFTAと日・アセアンFTAにおける関税率それぞれ見てみます。
下図が日・アセアンFTA(2008年12月発効)です。こちらに記載の「B5」とは数字に1を足した6年目に関税がゼロになるという意味です。従って、HSコード8481.30の場合、1年目10%、2年目8%、3年目6%、4年目4%、5年目2%、6年目ゼロとなります。
一方、日・タイFTA(2007年11月発効)は、同じ6年目にゼロになるにしても、スタートが12.5%となっております。
この場合、日・タイFTAでは、スタートの関税率は12.5%と高いですが、2009年はどちらの関税率が低いでしょうか? 日・アセアンは8%ですが、日・タイは7.5%となります。このように発効日も含めて、どちらを適用したら有利か、スタート時の関税率ではなく、逓減状況も含め詳細に確認する必要があります。
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