関税ゼロへ!マスクと消毒液をモンゴル・ブルネイから輸入した場合の原産地規則
マスクと消毒液をモンゴル・ブルネイから輸入した場合、関税ゼロにするために利用できるEPAについてその原産地規則を説明しました。モンゴルで活用できるEPAは2国間EPA(日モンゴルEPA)のみです。ブルネイは日ブルネイEPAと日ASEAN EPAのどちらかを選択可能です。
マスク・消毒液の輸入通関 モンゴル・ブルネイからの輸入
マスク・消毒液について日本が締結している国や地域との間のEPAで原産性等の要件を満たせば、日本で輸入する際に関税率は無税になります。今回は日本・ブルネイ間及び日本・モンゴル間のEPA(下記太字)の原産性の要件につき説明します。
シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・オーストラリア・モンゴル・TPP11・ EU
ブルネイは2国間協定とASEANのどちらかを選択可能です。
マスクのHSコードと関税率
一般に市販されているような使い捨ての人造繊維の不織布製衛生マスク
HSコード 6307.90-029
関税率:4.7%(WTO協定税率)
綿100%織物(ガーゼ)マスク
HSコード 6307.90-010
関税率:6.5%(WTO協定税率)
マスクの品目別規則
日モンゴルEPA(日インドEPAと同じ)
織物類又は編物類からの製造(付表に規定する必要な工程を経る場合に限る)
- メリヤス編み、クロセ編み又は織りの工程
- 製品化の工程
▶︎2つの工程が締約国にて必要
日ブルネイEPA
類(上2桁)の材料からの変更
但し書き
5007、5111~5113、5208~5212、5309~5311、5407~5408、5512~5516 の各項
第60類
上記の非原産材料を使用する場合には、当該非原産材料のそれぞれがいずれかの締約国又は東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において製織され、又はメリヤス編みされ、若しくはクロセ編みされる場合に限る
こちらは、ASEANと実質的に内容が同じです。
消毒液のHSコードと関税率
一般に市販されているような消毒液
HSコード:3808.94-000 (HS2002版は3908.40になります。日ブルネイEPAはHS2002版です)
関税率:3.9%(WTO協定税率)
消毒液の原産地規則
日モンゴルEPA
関税分類変更基準 ▶︎号の材料からの変更(上6桁)
付加価値基準 ▶︎原産資格割合が40%以上(控除方式+積上げ方式)
FOB価格 100円
非原産材料 35円
原産材料 40円
労務費、製造経費、利益、その他 13円
港までの輸送費等 12円
RVC:原産割合がFOBの40%以上あればいい(控除)
➡︎ (100-35)÷ 100 = 65 ≧ 40% ⭕️
RVC:原産割合がFOBの40%以上あればいい(積上げ)
➡︎ (40+13)÷ 100 = 53 ≧ 40% ⭕️
日ブルネイEPA
関税分類変更基準 ▶︎号の材料からの変更(上6桁)
付加価値基準 ▶︎原産資格割合が40%以上(控除方式)
加工工程基準 ▶︎使用される非原産材料について、締約国 において化学反応、精製、異性体分離若しくは生物工学的工程を経ること
日ASEANEPA
品目別規則に個別の記載がないため、一般ルールが適用されます。
一般ルール
関税分類変更基準 上4桁の変更
付加価値基準 原産資格割合が40%以上
ASEANより日ブルネイEPAの方が原産性を取得しやすい条件となっています。
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