10分でわかる!! 日スイスEPA 付加価値基準でFOB使わない!
- 2020.03.19
- 10分でわかるシリーズ(動画付き) EPA/FTA 関税
動画解説はこちら!!
今回は、日本とスイス間のEPAです。スイスはヨーロッパで日本が初めて締結したEPAです。日スイスEPAの付加価値基準の計算にはFOB価格ではなく工場引渡し価額を利用しますので注意してください。
日スイスEPAの原産地規則の特徴
関税分類変更基準あるいは付加価値基準のどちらかを満たせばよく、一般ルールは下記です。
- 関税分類変更基準 上4桁の変更
- 付加価値基準 非原産材料が工場渡し価額の60%以下
(注)通常のEPAと違い、原産地規則が独立した章ではなく2章の中にある。品目別規則は付属書2を参照。
具体例:自動車のクラッチ HSコード 8708.93
HSコード8708.93は、品目別規則に記載がないため、一般ルールに従います。
FOB価格 100万円
非原産材料 60万円
原産材料 20万円
労務費、製造経費、利益、10万円
その他 2万円
港までの輸送費等 8万円
付加価値基準:非原産材料が工場渡し価額の60%以下
➡︎ 60 ÷ (100-8) = 65% > 60% ❌
その他日スイスEPAの特徴
証明制度:第三者証明制度
認定輸出者制度
HSコード:HS2007
言語:英語
なお、スイスはEU加盟国ではないので、貴社がスイスと取引がある場合は、日スイスEPAのみとなり、日EU EPAは利用できないので注意ください。また、日スイス EPAの対象地域(関税地域)はスイスのみならずリヒテンシュタインを含みますので注意ください。
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Author:S.I 投稿一覧
2002年筑波大学国際関係学類卒業後、空気圧機器の世界トップメーカーであるSMC株式会社入社。働きながら中央大学の社会人向けビジネススクールに通い2014年3月にMBA取得。2018年までの16年間、当該メーカーにて国際税務(特に移転価格)の経験を積み、多国籍企業の法人税節税に貢献(2018年7月に当該メーカーを退社)。国際税務を担当する中で、多くの企業が関税を無駄に払っている現実に直面。この問題を解決する一助として、独学でプログラミングを習得し、HSコードや関税率を簡単に検索できるサービス「HS CODER」https://hs-coder.com/ を公開、現在運営中。更なるサービス拡大を目指し、2018年10月株式会社ワッグワックを創業。また、2022年2月にフォワーダーのための関税削減アプリhttps://lp.tarifflabo.com/ を開発、公開。現在に至る。