関税削減!!日英EPA 大筋合意へ ブルーチーズ妥結?
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日英EPAが8月末で大筋合意の見込みです。イギリスのブルーチーズの日本輸入時の取り扱いについて妥結されたようです。具体的には、イギリス産には29.8%の高関税をいったん適用するも、毎年末以降にEU産関税(現在は24.2%)との差分を輸入業者に還付する形になる見込みです。
日英EPA
背景
2020年2月1日、イギリスはEUを離脱しました。ただし、日EUEPAについては移行期間として、2020年12月31日まではイギリスも継続して適用されます。そのうような中、2021年1月に間に合うよう、現在日本とイギリスでEPAの協議が進行中です。
経緯
8月末の大筋合意を目指しており、「大半の分野で実質合意し、主要論点について認識の一致に至った」とのことです。争点の1つだった英国側の自動車関連の関税引き下げや撤廃についても2026年に関税撤廃することで日EUEPAと同じになる見込です。自動車以外で、ブルーチーズの扱いがまだ協議の棚に上がっている状況でした。
日英EPA ブルーチーズの交渉
背景
日EUEPAでは、カマンベール・ブルーチーズ・モッツァレラといったソフト系チーズは一定の輸入枠を設け、枠内分の関税を段階的に減らし16年目に撤廃することになっています。一方。チェダーなどハード系チーズは、枠を設けず16年目に撤廃予定です。2019年度の輸入枠は、英国分を含む上限2万600トンで消化率は58%と、輸入枠を使い切っていない状況があります。
そのような中、日英EPAの締結に向けてイギリスはブルーチーズの新たな輸入枠を望んでいます。イギリスはブルーチーズの「スティルトン」が有名で、2019年度の英国からのブルーチーズの日本での輸入量は約17トンにとどまっています。一方、日本は日EUEPA以上にはチーズに関して譲歩したくないという思惑があります。
最終調整へ
英国産ブルーチーズの取り扱いについて、EU産と同水準の低関税を保証する仕組みを導入する方向で日本とイギリスは最終調整に入りました。具体的には、英国産には29.8%の高関税をいったん適用するが、毎年末以降にEU産関税(現在は24.2%)との差分を輸入業者に還付する形をとります。英国産への関税還付は、各年末に日EU EPAに基づくEU向け低関税輸入枠が余っていることが条件となっています。
これにより日本としては、日EUEPA以上の枠を超えてチーズの輸入関税を削減することはないことが担保され、一方イギリスは日EUEPAで使われずに残ったチーズの輸入枠を有効活用できるというメリットがあります。
こういった最終調整を受け、8月末には大筋合意の予定です。
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