【10分でわかる!!】日EU EPA 累積=ジャイアンルール!?
- 2020.02.17
- 10分でわかるシリーズ(動画付き) EPA/FTA 関税
動画解説はこちら!
今回の「累積」はデミニマス、ロールアップ、トレーシングと同様、救済規定の一つです。品目別原産規則の「関税分類変更基準」「付加価値基準」「加工工程基準」のどれでも累積は活用できます。なお、モノの累積と生産行為の累積との2種類があります。
品目別原産地規則に活用できる救済規定
- 品目別原産地規則を満たす産品(救済規定)
- 関税分類変更基準(デミニマス 累積)
- 付加価値基準(ロールアップ、トレーシング、累積)
- 加工工程基準(累積)
「累積」はとてもパワフル
累積とは「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」というルールです(ジャイアンルール!?)つまり、日本でなくとも、EU域内の締約国で生産された材料は自国で生産されたもの同様に原産材料として扱うことが可能です。つまり「EUのものは日本の原産品。日本のものも日本の原産品」となります。
なお、日EU EPAでは、生産に使用された材料の累積のみならず、産品に対して日本又はEU域内で施された加工などによる付加価値や加工工程も累積に含めることができる、「生産行為の累積」が認められる完全累積制度が採用されています。
しかも、関税分類変更基準、付加価値基準、加工工程基準のどれにも利用できるパワフルな救済規定なので、是非いろんなケースでご利用ください。
材料の「累積」
出典:日 EU・EPA解説書
ドイツの基幹部品Aの価額(付加価値25%分)を日本の産業用ロボットの原産材料(付加価値)として取り込む事が可能になります。そうした場合、日本での付加価値が30%であれば、全体として55%となりRVC方式によりEU向けに日本の原産品として輸出可能になります。
生産行為の「累積」
出典:日 EU・EPA解説書
イタリア国内で製織されたものを日本へ輸入して、その布を用いて日本国内でネクタイを製造した場合、イタリアと日本で行われた2つの生産工程は両方とも日本の工程としてカウントされ、加工工程基準の2工程ルールにより日本の原産品としてEUへ輸出する事が可能になります。
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