【10分でわかる!!】日ASEAN EPA 「連続する原産地証明書」という制度の導入!
- 2020.03.31
- 10分でわかるシリーズ(動画付き) EPA/FTA 関税
動画解説はこちら!
今回は、日本とASEANのEPAです。日ASEAN EPAにて「連続する原産地証明書(Back to Back CO)」という制度が新たに導入されました。これは原産国でない締約国(物品の経由国)が「連続する原産地証明書」が発行することで、輸入国への輸出国の原産資格を維持できる制度です。
日 ASEAN EPAと重複する制度
ASEAN加盟国は、ブルネイ,カンボジア,インドネシア,ラオス,マレーシア,ミャンマー,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナムとなりますが、これらの国との間には、日ASEAN EPA以外にも2国間EPAや特恵関税制度があるので、それらとの関係が問題になります。
2国間EPAもある国
ブルネイ,インドネシア,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナム
日ASEAN EPAと上記国との2国間EPAのどちらを適用するかは輸入者(輸出者)の選択による。
一般特恵関税の受益国
インドネシア,フィリピン,ベトナム
▶️上記国との貿易において、一般特恵関税の税率がEPA税率のより低い場合のみ一般特恵関税の制度を適用できる。
特別特恵関税の受益国
カンボジア,ラオス,ミャンマー
▶️上記国との貿易において、日ASEAN EPAと特別特恵関税のいずれを適用するかは輸入者(輸出者)の選択によります。
日ASEAN EPAの原産地規則の特徴
一般ルール
関税分類変更基準 or 付加価値基準
関税分類変更基準 上4桁の変更
付加価値基準 原産資格割合が40%以上
具体例 自動車のクラッチ 8708.93
品目別規則によると、87.08は、「付加価値基準の原産資格割合が40%以上」となっているので、こちらが一般ルールに優先され適用されます。
FOB価格 100万円
非原産材料 60万円
原産材料 20万円
労務費、製造経費、利益、10万円
その他 2万円
港までの輸送費等 8万円
RVC:原産割合がFOBの40%以上あればいい(控除方式)
➡︎ (100-60) ÷ 100 = 40% ≧ 40% ⭕️
加工工程基準 2工程ルール
通常は、上記2と3の工程が日本であれば、日本の原産品となりますが、2の工程がASEAN加盟国であっても、日本の原産品になります。
連続する原産地証明書(Back to Back CO)
日ASEAN EPAにて「連続する原産地証明書(Back to Back CO)」という制度が新たに導入されました。例えば、原産国でない締約国(物品の経由国)であるシンガポールが「連続する原産地証明書」が発行することで、タイやベトナムやマレーシアといった輸入締約国にて輸入する際に、輸出締約国(日本)の原産資格を維持できる制度です。これにより、シンガポールに中央倉庫があって、タイやベトナムやマレーシアに都度輸出するといったケースであっても日本の原産性を維持できるようになり、輸入締約国にて日ASEAN EPAによる関税の減免を受けられるようになります。
その他 日ASEAN EPAの原産地規則の特徴
- 証明制度:第三者証明制度
- HSコード:HS2002
- 言語:英語
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