HSコードとその構成について
HSコードの特定が必須
前回ご紹介したFTA適用条件の調べ方では、主に3つの資料(特に譲許表)から関税率を調べていく方法をご説明しましたが、今回はそもそもその前提となる産品毎に決まっているHSコードについてご説明します。
つまり、そのHSコードを特定しないと当該産品に適用される関税が何%であるかわからず、例えばFTAを適用したら関税率が下がるのか、複数のFTAがある場合はどれがもっとも有利かといった判断ができません。
HSコードとは
「HSコード」とは、”Harmonized Commodity Description and Coding System(商品の名称及び分類についての統一システム)”として、国際貿易商品の名称及び分類を世界的に統一するためにつくられた、コード番号をいいます。
2019年5月現在、世界税関機構(WCO)のもと、日本を含む156カ国・地域及びEUが「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)」(International the Harmonized Commodity Description and Coding System)に加盟しています。なお、HSコードを使用している国・地域は、未締約国を含み計200以上で、国際貿易の98%を超える取引にHSコードが利用されており、世界中の貿易にとってHSコードは不可欠なものとなっています。
ちなみに、HSコードは、日本では「輸出入統計品目番号」、「関税番号」、「税番」などと呼ばれており、単に「HS」と聞くこともあります。
HSコードの構成
HSコードは、あらゆる貿易対象品目を21の「部」(Section)に大分類し、6桁の数字で表されます。6桁のうち、上2桁を類(Chapter)、類を含む上4桁を項(Heading)、項を含む上6桁を号(Sub-heading)といいます。HSコードの分類は、ほぼ5年毎に定期的に見直しをすることが、当初から加盟国により合意されており、過去1992年、1996年、2002年、 2007年、 2012、2017年に改正されました。
HSコードの初めの6桁をHS条約に適合させた加盟国は、国内法に基づいて「号」の下に細分化された番号をもつことが可能です。日本では、第7〜9桁を輸出入統計分類用、第10桁をNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)用に使用されます。
なお、HSコードの上から6桁は、加盟国共通なので、上6桁が同一であれば、同一品目を示していることになります。
HSコードの事前教示制度
一方、ある産品がどのHSコードに属するかの判断は専門知識を要することが多いです。以前ご案内したHS CODERから候補を確認することも可能ですが、その特定に迷うこともあります。
また、同一品目であったとしても、国・地域によって解釈が異なり、違う分類になっていることがあり、関税分類の違いによる通商紛争がWTOの紛争解決期間に申し立てられることもあります。よって自国のHSコードを確認したとしても、輸出先国で同じ分類になっているかということは事前に確認しておくことが必要です。関税分類が間違っていた場合、後で、訂正や修正申告が必要になることがあります。
なお、日本の税関には「関税分類事前教示制度」があり、こちらで事前に関税分類や税率について確認することができます。初めて輸入する際に確認するのが理想ですが、輸入後に確認することもできます(ただその結果は、遡及適用されずその後の輸入に適用されます)ので、悩まれた場合は積極的に利用することをお薦めします。
各国にも日本と同じような制度があることが多いので事前に確認することが可能です。ただ、言語の問題等がありますので、現地の専門家を通じて確認するのが確実です。したがって、FTA適用にあたっては、輸出国側の専門家との繋がりも重要になってきます。
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