FTA・EPA活用すれば、雇用も技術も守れる!?
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FTA・EPA活用の一般的なメリット
一般的に、FTA・EPA活用のメリットは、関税の削減・撤廃の恩恵を享受することが出来る事です。これにより仕向け国(輸入国)における輸出国側の製品の価格競争力がアップします。
通常であれば仕向け国にて関税がかかりますが、FTA・EPAを活用することでもし関税がゼロになるのであれば、仕向け国国内の企業と同じ土俵で競争することができます。
人件費の安さだけで海外に生産拠点を移すことのデメリット
今まであれば、仕向け国と同じ土俵で競争するためには、生産拠点を仕向け国に移管するといった戦略をとる企業が多くありました。20年前ほどから盛んに日本の企業が中国に生産拠点を移管したことは、みなさんご存知のことかと思います。もちろん人件費が安かったということもありますが、その結果、成長した巨大な中国国内市場にて、国内企業と同じ土俵で製品を販売することも可能となりました。昔は、中国の工場を世界の工場とし、そこから世界各地に輸出していた企業も最近は、中国工場は国内専門の工場として活用し、世界の工場はより人件費の安いベトナムへ移っているといった流れもあります。
このように、いずれは人件費が上がります。もちろん、人件費が安いメリットを享受するため、海外に生産拠点を移すということは今も重要な選択肢の一つです。ただ、生産拠点を海外に移すということは莫大な設備投資資金も必要になります。
国内生産拠点を維持・拡大するという選択肢
一方、先ほど述べたようにFTAやEPAを活用することで、輸出先の国内企業と関税については同じ土俵で戦えるようになることを考えると、日本の企業は今まで通り日本に生産拠点を維持したまま、FTAやEPAを活用して輸出していくという選択肢も十分に考えられます。
特に日本の企業は雇用を守るといった事を海外の企業に比べ強く求められる傾向があることから、この雇用を国内で守ることも可能になります。また中国での知的財産の流出が問題なるケースもございますが、こういった技術の流出も防ぐ事か可能になります。もちろん新たに海外拠点を築く事は、多額の設備投資資金が必要になりますが、そのまま国内工場を活用するのであればその費用も必要ありません。FTA・EPAの手続きコストはそれに比べたら安いものです。
いずれにしましても、FTAやEPAを活用するということは企業の販売活動に止まらず、生産活動においてもより多くの選択肢を持つことが可能になります。従いまして、生産拠点を海外へ移される前に、FTAやEPAを活用することで、今一度国内工場を維持することのメリットも考慮頂ければと思います。
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