FTA・EPAとは?

FTA・EPAとは?

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FTA・EPA活用のメリットとデメリット

 最近、FTAやEPAという言葉を聞く機会が増えていませんか?特にトランプ米大統領が自身をタリフマン(関税男)といい、中国と関税戦争を繰り広げる事で関税が注目を浴びるにつれ、ますますのその機会に触れる方も多いのではないでしょうか?

 と言いますのは、この2つを活用する事で関税の負担等を軽減する事ができるというメリットがあるからです。トランプ氏が関税を引き上げる政策をとっているため、その逆であるFTAやEPAが注目を浴びているという構図です。

 一方、これを使わないデメリットは特に見当たりません。あえて挙げるとすれば事務的な手続きコストが発生するといったことがありますが、これも関税が下がるインパクトに比べてば、大したことはないと考えます。したがって、多くの企業様はこのFTAやEPAの恩恵を受ける事ができますので、是非活用いただければと思います。

そもそもEPA・FTAとは?

 FTAとは、Free Trade Agreement(自由貿易協定)の略称です。ただ、日本が締結しているFTAは、そのほとんどがEPAであり、EPAは、Economic Partnership Agreement(経済連携協定)というものです。関税が安くなるという点で両者は同じですが、EPAの方がFTAに比べてその範囲が広いという違いがあります。

 外務省ウェブサイトによると、FTAは、「特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障害壁を削減・撤廃することを目的とする協定。経済連携協定の主要な内容の一つ」と定義されています。一方EPAは、「貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定」と定義されています。

 つまり、FTAの目的は、①関税の撤廃、②サービスへの外資規制撤廃となりますが、EPAの目的は、これに加えて、③投資規制撤廃、投資ルールの整備、④知的財産制度、競争政策の調和、⑤人的交流の拡大、⑥各分野での協力 となります。ただ、実務的にはこれを分けて考える必要はございませんので、特に両者の違いを気にする必要は特段ありません。

WTOとFTA(EPA)との関係性

 また、FTAやEPAの価値を理解する上で欠かせないのが、WTO協定との関係です。経済産業省のウェブサイトによると、WTO加盟国は、2017年9月時点で164ヶ国となっております。通常、輸出入を行う際は、各国が定めた関税を支払う必要がありますが、このWTOに加盟している国はWTOで定めれた原則に基づいて、各加盟国が届け出た譲許表と呼ばれる関税率の表に則り、すべての国に対して共通の関税率が適用されます。この税率はMFN(Most Favored Nation)税率と呼ばれており、全てのWTO加盟国に提供されます。

 つまり、WTO協定で規定されている通商法上のルール、例えば、加盟国間で差別的な取り扱いをしないこと、国内の企業と比べて国外の企業に対して不利な扱いをしないこと等に従う事が加盟国には義務づけられています。従って、各国が提出した譲許表の関税率より不利な関税率を特定のWTO加盟国に対してのみ課すと言ったことは禁止されています。

 一方、FTAやEPAは2国間もしくは複数国間において、規制の制度をさらに緩和させる義務を締結国相互に課す事が可能になるシステムです。現在世界の多くの国がWTO加盟国となっており、通常はMFN税率が適用される事がほとんどですが、FTAは更にこの税率より低い税率が設定されるため、FTAを締結していない国との貿易に比べて、より輸出入時の関税を安くする事が可能になります。

 FTAやEPAの数は1990年代から急激に増加し、日本貿易振興機構(ジェトロ)のウェブサイトによりますと2018年12月現在では、発行済(暫定適用含む)の数は309件となっております。つまり、せっかく世界に張り巡らされたFTAやEPAを活用しないということは、活用した企業と比較して取引のスタートの段階から国際競争力を失う事となります。

 日本は少し出遅れましたが、近年締結国を増やし、2019年2月現在18(シンガポール,メキシコ,マレーシア,チリ,タイ,インドネシア,ブルネイ,ASEAN全体,フィリピン,スイス,ベトナム,インド,ペルー,オーストラリア,モンゴル,TPP12(署名済),TPP11,日EU・EPA)のFTA・EPAが発行済・署名済となっておりますので、是非ご活用を検討ください。

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