FTAの適用条件の調べ方
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FTAの協定書の入手方法
各FTAの協定書は、Web上からダウンロードすることが可能です。例えば、日本が締結しているFTAであれば、英文・日本文とも外務書Webサイト上の「経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)」で参照可能です。
ちなみに最新情報(2019年2月現在)は下記になります。
出典:外務省Webサイト https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/
なお、昨日のブログにてご説明した日本とタイのFTAについては、当該Webサイトの下図からクリックしますと、詳細内容を確認いただけます。
クリックしますと、下図の通り日本語版と英語版の協定を入手することができます。
FTAの構成
こちらを見ますと、かなりの量の資料であることが分かります。付属書も含めますと膨大です。当然内容は、交渉結果によって決まるため、FTA毎に異なりますが、基本的な構成は大きく変わりません。
なお、日本とタイのFTAの構成は下図のようになっています。
また、「和文テキスト(PDF)」の構成は下記です。
- 第1章 総則
- 第2章 物品の貿易
- 第3章 原産地規則
- 第4章 税関手続き
- 第5章 貿易取引文書の電子化
- 第6章 相互承認
- 第7章 サービスの貿易
- 第8章 投資
- 第9章 自然人の移動
- 第10章 知的財産
- 第11章 政府調達
- 第12章 競争
- 第13章 協力
- 第14章 紛争解決
- 第15章 最終規定
関税削減に確認が必要となる資料(3つ)
それでは、この膨大な資料のどこを確認すればいいのでしょうか?関税の優遇を受ける関係では、「第3章 原産地規則」と「附属書一(第2章関係)第18条(関税の撤廃又は引き下げ)の規定に関する表(いわゆる「譲許表」といわれるもの)」および「附属書二(第3章関係)品目別規則」の3つの資料を確認する必要があります。
原産地規則は、FTA適用の基礎となる当事国の原産品と認められるためのルールを規定したものです。なお、ここはあくまで一般原則になりますので、各品目ごとに特則を設けている場合があります。これが附属書の品目別規則です。取り扱い商品に特則がないかを確認する必要があります。特則があれば、特則が優先されますので、そちらの規則に従って、原産品と認められるか否かを検討する必要があります。
譲許表には、協定当事国の輸入関税が品目毎に記載されています。こちらが昨日のブログでお示しした表です。輸入関税率が毎年少しづつ下がる場合は、そのスケジュールとそれぞれの年毎の率が記載されています。ここの表は関税率が記載されている表ですので、いわゆる原産性が認められた場合に提供される率になりますのでとても重要な表になります。ただ、どの資料も専門的な用語が多くどこを確認すればいいのか悩まれる場合も多々あります。その場合は、まず最初に専門家に確認することをお薦めします。
一度ポイントが掴めれば、それほどむずかしくはないのですが、関税率が下がるか、下がらないのかという重要な確認になりますので、最終的な確認を専門家に仰ぐといったことも必要になります。
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