関税削減!! EUメキシコ 拡充版FTA 貿易品目の99%が関税撤廃へ
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2020年4月28日、EUメキシコFTAは再交渉が妥結され、実質的に全ての品目の関税が撤廃されました。具体的には、発効時点で双方の貿易品目の98%が無税となり、最終的に99%が撤廃されます。ただ、適用は欧州議会等の承認手続きを経た後なので注意ください。
EUのFTA環境
EU加盟国
ベルギー・ブルガリア・チェコ・デンマーク・ドイツ・エストニア・アイルランド・ギリシャ・スペイン・フランス・クロアチア・イタリア・キプロス・ラトビア・リトアニア・ルクセンブルク・ハンガリー・マルタ・オランダ・オーストリア・ポーランド・ポルトガル・ルーマニア・スロベニア・スロバキア・フィンランド・スウェーデン・(英国) 27(+1)カ国
英国はEU離脱の移行期間として2020年12月31日まではEU加盟国としてFTAが適用されます。
EUが締結しているFTA
- 韓国(2015年発効)
- 日本(2019年2月発効)
- シンガポール(2019年11月発効)
- ベトナム(2020年8月1日発効!)
- スイス(1973年発効)
- カナダ(包括的経済貿易協定(CETA)、2017年9月に暫定適用開始)▶︎物品はほぼゼロ
- メキシコ(2000年7月10月発効)←今回はここに注目
EUが交渉中のFTA
- 英国
- オーストラリア
- ニュージーランド
- インドネシア
- チリ
- フィリピン
EUメキシコ 拡充版FTA
経緯
EU・メキシコFTAは2000年10月に発効しましたが、農水産加工品の数百品目が関税撤廃の対象から除外されており、再交渉の予定でした。2016年5月にFTAのmodernisation(現代化)の交渉が開始され、2018年4月に大枠合意しています。
概要
最終的に、2020年4月28日、EU・メキシコの2国間のFTA再交渉が妥結しました。その結果、実質的に全ての品目の関税が撤廃されることになりました。なお、発効時点では双方の貿易品目の98%がFTAの活用により無税となり、最終的に99%が撤廃されます。残りは関税割り当てによる無税枠などが適用されることになっています。
なお、関税割り当てとは、「一定の輸入数量の枠内に限り、無税又は低税率の関税を適用して、需要者に安価な輸入品の供給を確保する一方、一定の輸入数量の枠を超えた輸入分は、比較的高税率の関税を適用することによって、国内生産者を保護する手法」です。
ポイント
EU側
オレンジジュース、マグロ、蜂蜜、アガベシロップ、果物や野菜など農業分野の関税撤廃
メキシコ側
リンゴ、桃、乳製品については、関税割当などの設定をして保護り当てによる無税枠などが適用
適用はこれから
新協定が適用スタートまでは以下の手続き必要となります。したがって、まだ農水産加工品の関税撤廃の恩恵は受けられませんので注意ください。
- 文言の法的確認+各EU加盟国言語への翻訳
- EU側の協定の署名及び締結のため、欧州議会及びEU理事会の承認
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