中国でアメリカ製品を輸入すると関税25%も!
中国がアメリカに報復関税
アメリカが中国製品2000億ドル(約22兆円)相当に対する関税を引き上げたことから、報復措置として中国はアメリカ製品に最大25%の関税を6月1日から課しています。
アメリカ製の商品を中国にて輸入している企業様はお気をつけください。高額な関税がかかります。。。なお、中国の報復関税の率は製品により異なりますが、2019年5月13日のBloomberg Newsによると、以下になります。
2493品目は25%
2019年5月13日のBloomberg News
1078品目は20%
974品目は10%
595品目は5%で維持
このように、アメリカと中国の関税引き上げ合戦は今なお続いております。多国籍企業でアメリカや中国に法人を有する日本企業は、関税率が大幅に上がり、それによるコスト(原価)が高騰してしまうので非常に注意が必要です。
多国籍企業の関税リスクをどう回避するか
ただ、一企業としては、このような国家が決定した関税率に文句をいうことはできません(払わない選択肢はない)ので、いかにこのようなリスクを減らすかということが重要になります。
特に日本の企業は中国に工場を有していることが多く、今回のようなことが起きると、中国の工場の原材料や部品をアメリカから輸入している場合、品目によっては25%の関税を支払わなくてはならなくなります。
このようなリスクを回避、あるいは可能な限り減らすには、企業としてどのようにしたらいいのでしょうか?
生産拠点を複数国に設置
対策の一つとして中国以外の国にも工場を持つということがあります。例えば、最近では中国以外にベトナムに工場を有する日本企業が増えてきています。
このように中国以外に別の国に生産拠点を設けておきますと、今回のような関税率の増加によって原価が高騰してしまう場合、別の国に生産移管することで、リスクを回避できます。もちろんすぐには生産移管できないケースもありますが、インパクトの大きい製品のみでも移すことでリスクを軽減することが可能になります。
工場を建設し、いざ稼働となると1年半はかかります。したがって、何か問題が起きてからの生産移管では遅すぎます。予め別の国に生産拠点を有しておくということは非常に重要です。
また、工場を複数持っておくということは災害リスクにも対応できます。過去にタイで大きな洪水が起きた際、日本の多国籍企業の多くがタイにも工場を有しており、それにより生産がストップするといった問題が発生したのも事実です。こういった災害時の対策としても、工場を複数の国に有するということは非常に重要です。
中国以外の生産拠点としてのベトナム
特にベトナムは日本とEPAを締結していること、ベトナムはASEANの一員でもあることから東南アジア間の輸出入にかかる関税もかなり安く抑えられるといったメリットがあります。
また、中国とベトナムはFTAを結んでいるので、日本を敢えて通さずに、ベトナム製の製品を中国に直接輸出することで、安く中国に製品を入れる事が可能になります。なお、2019年6月30日にはEUとベトナム間でFTAも締結されましたので、ますますベトナムに生産拠点を有することのメリットが拡大しています。
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