原産地証明書の種類は1つではありません

原産地証明書の種類は1つではありません

 今まで、何気なく「原産地証明書」と書いてきましたが、厳密にいうとFTAで使う証明書は「特定原産地証明書」です。それではいくつか種類のある原産地証明書について、それぞれ簡単に違いを記載します。

「一般原産地証明書」とは

 一般原産地証明書は、各商工会議所の事業に基づいて発給され、L/C買取銀行への提出や転売目的等、さまざまな用途に使われます。

ジェトロでわかりやすい記述があったので記載します。

 一般に原産地証明書といわれるものは、貨物の原産地を証明するためのもので、1. 輸入国の法律・規則に基づく要請、2. 契約や信用状で指定がある場合に提出します。日本では各地の商工会議所が発行機関とされています。この原産地証明書を発行するための判断基準は、関税法施行令、関税法施行規則、関税法基本通達に定められた原産地認定基準が用いられます。

日本貿易振興機構(ジェトロ)のHP

「特定原産地証明書」とは

 一方、特定原産地証明書は、今まで説明してきたような各FTAに基づいた原産地規則に基づいて原産性を充しているかを証明する書類のことです。タリフラボで説明してきた原産地証明書は、全て「特定原産地証明書」を指しています。

こちらもジェトロの説明を引用します。

 特定原産地証明書とは日本が締約する経済連携協定に基づくもので、協定によって定められた特恵関税の適用を目的としているもので、日本商工会議所が唯一の指定発給機関です。協定ごとに異なる原産地規則に照らし合わせ、それぞれの協定に基づく様式で発給されます。

本貿易振興機構(ジェトロ)のHP

「Form A」とは

 上記の2つ以外に似た証明書として、一般特恵関税制度(Generalized System of Preferences: GSP)の適用のための原産地証明書(Form A)があります。この一般特恵関税は、開発途上国からの物品に対して適用される特別に低く設定された関税率です。これは1968年にUNCTAD(国連貿易開発会議)で制度として立ち上がり、その主目的は開発途上国の貿易を促進させ、輸出所得を増やし、貧困解消の一助とすることにありまさう。日本では1971年に創設され、現在多くの国で制度として確立されています。

 したがって、日本は開発途上国に対して供与する側で、日本の原産品には適用されません。開発途上国から輸入する際に特恵関税が設定されている品目に関し、輸出国の発給機関で発給を受け、日本の税関に提出すれば一般特恵関税の適用を受けられます。

 このように、Form A は輸出国(開発途上国)側の各発給機関で発行を受け、日本の税関に提出すれば、一般特恵関税の適用(通常の関税率より低い率か無税(Free))を受けることができます。

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