原産品の3つの種類

原産品の3つの種類

原産品の種類

 今までさりげなく使っていた「原産品」には3つの種類があります。よく起こしてしまう勘違いは、Made in Japanと書いてあるから日本の原産品だと判断してしまうことです。Made in Japanであっても、原産品であるとは限りません。FTAやEPAでは以下のように「原産品」の種類について決められています。

  1. 完全生産品
  2. 原産材料のみから生産される産品
  3. 非原産材料を用いて生産される産品

以下、順に見ていきます。

「1. 完全生産品」とは?

 FTAやEPAの締約国内で、原材料からすべて生産、育成、採取された産品については、原産品としてFTAやEPAの特恵税率の適用を受けることができます。典型的な例として、動物、植物、魚介類といった農水産品や鉄やボーキサイトのような鉱物資源が挙げられます。

「2. 原産材料のみから生産される産品」とは?

 締約国の原産材料のみから締約国において完全に生産される産品は、原産品としてFTAやEPAの適用を受けることが可能です。注意すべき点は、FTAの相手国の原産材料も、締約国の原産材料に含まれるということです(いわゆる「累積」の概念ですが、こちらは後日説明したいと思います)。

 すべての原材料が締約国の産品であることを証明する資料を準備する必要があります。ただ、いくつもの製造過程を経る工業製品については、ここの原産品として分類されるケースは少ないと思います。

「3. 非原産材料を用いて生産される産品」とは?

 材料の中に原産品のみならず、非原産品が含まれる場合、FTAで規定されている原産品判定基準に基づいて原産品として認定される場合があります。ただ、実務ではほとんどの製品は非原産材料が含まれると思いますので、多くの産品はこちらに分類され、その原産性を判断することとなります。

 原産品判定基準は、産品のHSコード毎に品目別規則においてきめられています。なお、これを証明する責任は、輸出する企業側にあります。企業は、証明できる書類を準備し、原産地証明を取得します。また取得後もこれを保管する必要があります。

FTAやEPAの本来の趣旨

 FTAやEPAの元で、「原産性あり」となる「原産品」が、上記のように定義されているのはなぜでしょうか?

 これはFTAやEPAの趣旨からすると理解頂けるかと思います。FTAやEPAは締約国同士の貿易、経済の発展を目指して締結されるものであります。従って、単純に締約国の外からなにかしらの産品が入ってきて(輸入して)、そのまま何もしないで締約国間で貿易したとしても、その産品について締約国の資源(土地やインフラや労働力)に貢献されないからです。関税率を低くすることで、両国間の貿易をより活性化させて、両国の経済を発展させようとするときに、両国の経済資源を使ってない産品では両国の経済活性化に寄与していないからです。従って、原産品を上の3つと定義することで、両国の経済発展に寄与している産品については、関税率の特恵税率を適用しようというもので、これがFTA、EPAの本来的趣旨になります。

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