完全生産品の原産性の判定基準は?
- 2019.10.03
「完全生産品」についてその原産性の判定基準について詳しくみてみます。どういう条件を満たしたら、該当の産品が「完全生産品」となり、「原産性あり」の原産品として判断され、関税の優遇を得られるかという内容です。
FTA・EPAを活用すれば、関税を削減できます!
「完全生産品」についてその原産性の判定基準について詳しくみてみます。どういう条件を満たしたら、該当の産品が「完全生産品」となり、「原産性あり」の原産品として判断され、関税の優遇を得られるかという内容です。
今までさりげなく使っていた「原産品」には3つの種類があります。よくしてしまう勘違いとして、「"Made in Japan"と書いてあるからイコール日本の原産品だ」ということではなく、FTAやEPAでは「原産品」の種類について決められています。
以前、関税削減に確認が必要となる資料3つ(下の3つ)を説明し、その一つ「第3章 原産地規則」については、昨日ご説明しました。今日は、それと対をなす資料として「附属書三(第3章関係)品目別規則」について説明します。
先日、FTAで重要な資料3つのうちの一つが「第3章 原産地規則」とお伝えしました。つまり、産品の関税率がFTAを活用して低くなるかの前提として、対象となる産品がFTAの原産地規則に沿っているかどうかの確認が必要になります。今回は、細かい内容ではなく、原産地規則の構成について説明します。
前回ご紹介したFTA適用条件の調べ方では、主に3つの資料(特に譲許表)から関税率を調べていく方法をご説明しましたが、今回はそもそもその前提となる種々ある産品毎に決まっているHSコードについてご説明します。
膨大なFTA協定の資料のどこを確認すればいいのでしょうか?関税の優遇を受ける関係では、「第3章 原産地規則」と「附属表一(第2章関係)第18条(関税の撤廃又は引き下げ)の規定に関する表(いわゆる「譲許表」といわれるもの)」および「附属書二(第3章関係)品目別規則」の3つの資料を確認する必要があります。
FTA活用を検討する際に、同じFTA締結国との間に複数のFTAが存在することがあります。例えば、日本とタイの場合、日本とタイのEPAと、日本とアセアンとのEPAが存在します。この場合は、もっとも有利な関税率になるFTAを企業は適用することが可能です。
WTOは広く世界をカバーして決められたルールであり、多数国間で合意しています。一方EPAやFTAは、二国間あるいは地域間で特別な合意をするので、こちらは例外にあたるとも考えられます。例えばWTOの基本原則である最恵国待遇からみれば、矛盾するのではとも考えられます。
FTA以外にも関税の優遇を受けたり、節約する制度はあります。例えば、開発途上国から日本への輸入の場合、一般特恵関税制度により、通常より低い関税率での輸入が可能です。
FTAやEPAを活用するということは企業の販売活動に止まらず、生産活動においてもより多くの選択肢を持つことが可能になります。従いまして、生産拠点を海外へ移される前に、FTAやEPAを活用することで、今一度国内工場を維持することのメリットも考慮頂ければと思います。